人事録

人事の仕事に興味がある方に向けた情報サイト

逆求人型サイトとは

学生の就職リスクを分散

2015年から就職活動の開始時期が繰り下げられ、3月1日に変わりました。
就職スケジュールが変更になって不安を抱く学生も多く、就職活動の内容にも変化がみられます。

その一つが「逆求人型サイト」の活用です。
これまでの求人サイトでは、学生側からアプローチをするのが一般的でした。
しかし就職活動の開始時期の変更を受けて、逆求人型サイトに登録する学生が増え、就職浪人になるリスクを分散させています。

逆求人型サイトとは学生が、自己ピーアールや写真などを使ったプロフィールを求人サイトに登録し、一方の企業も自社に関するプロフィールを登録します。
学生は企業プロフィールから好みの会社を選んで、就職活動ができますし、逆に企業が、個人プロフィールを見て、希望する学生に直接アピールすることも可能です。
つまり企業から、うちの会社に来てくださいとアプローチがきるのです。

実は、企業側も不安

今回の急なスケジュール変更に、企業サイドも戸惑いを隠せません。
調査によると8割以上の企業が、採用に不安を感じていると答えています。
不安を抱える企業が少しでも自社にマッチした人材を確保するため、会社から学生にアプローチする「ターゲッティング採用」を導入するケースが増えています。

マッチングが大切

学生は自分に合った企業を求め、企業は自社にマッチした人材を求めているのですから、お互いの利害は一致しています。

せっかく就職できたのに社風が合わなくて、こんなはずじゃなかったと入社したことを後悔しないように、まずはお互いのことをよく理解し合うことが大切です。

逆求人サイトでは企業も学生も、互いに自己アピールができ、どちらからもアプローチができます。
このため、高いマッチング効果が期待できます。

イベントも開催

このような事情で、にわかに注目が高まる逆求人サイトですが、実際にどのように活用していいのかわからない学生や企業が少なくありません。
そこで人材情報サービスのアイデムが2015年3月1日、逆求人サイトが体験できるイベント・JOBRASS ReaL 2016 合同企業説明会を開催しました。

イベントには関西テレビ放送、伊藤ハム、吉本興業、関西電力、大日本住友製薬など52社が参加。
各企業のブースで人事担当者と交流できるだけでなく、就活アドバイスコーナーも設けられました。
就活アドバイスコーナーでは、企業からオファーをもらうためのメイクや身だしなみなどを具体的にアドバイスしてくれます。
このほかにも就活相談ブース、企業の若手社員のパネルディスカッションなど、就活を応援するコンテンツやセミナーが行われました。

これまでは学生側からアプローチするという一方通行だった就職活動でした。
しかし今後は就職活動も変化し、双方からアプローチをするマッチング型の就活が増えると予測されます。

インターンシップ制度への注目

インターンシップとは?

就職をする前に、実際にその企業で働けるのがインターンシップです。
2015年度卒業予定の、現在の大学3年生から就職活動開始時期が変更され、3月1日からとなりました。
開始時期を変更したのは、大学の本来の目的である勉強時間を確保するためや、近年減少している留学を促すためなどが挙げられていますが、インターンシップの実施も理由の1つです。

昨年度に内閣府が実施したアンケート調査から、企業と人材とのマッチングの高さは、企業に対する理解の深さに比例することがわかりました。
このため、インターンシップによる企業での就業体験を通じて、自分がその会社に向いているのかどうかを判断する機会を得てほしいと期待しているのです。
政府は大学の1年生であっても、興味のある会社のインターンシップに積極的に参加して、さまざまな職場を体験してほしいと呼びかけています。

実際に、2014年でまではインターンシップを実施する企業は28%程度でしたが、今年度に入って実施企業は43%に急増していおり、インターンシップは企業にも学生からも好評を得ています。

日本のインターンシップは世界標準ではない

日本ではまだなじみの薄いインターンシップ制度ですが、アメリカなど海外では盛んに行われています。
しかし、日本のインターンシップはアメリカなどの海外のインターンシップとは内容が異なるのです。

アメリカなどではインターンシップの期間は2カ月~3カ月の長期間にわたって行うのが一般的で、給料も支払われますから社員に近い立場で働きます。
企業が学生の働きぶりを見て採用を望めば、そのまま就職することも可能です。

しかして日本ではインターンシップの期間は長くて3週間、短い場合は1日で終わります。
日本で行われているインターンシップは、海外ではエクスターンシップと呼ばれる制度と非常に似ています。
日本のインターンシップとエクスターンシップが異なる点は、日本では就活生が対象であるのに対し、エクスターンシップでは主に1年生と2年生が対象であることくらいです。
つまり日本では、社員に近い立場で本格的に働くのではなく、見学者・お客さんといった立場でプチ体験をすることをインターンシップと呼んでいるのです。

インターンシップの内容もピンからキリまでで、日本ではインターンシップがまだ本格化しているとはいえないのが現状です。
単に説明会で企業ピーアールだけを行うところもあれば、ロールプレイングによる実習や、実際に業務を体験させるところまで、プログラムの充実度に濃淡があります。

インターンシップとは会社と学生のリトマス試験紙

しかし、日本のインターンシップにも長所はあります。
日本のインターンシップは実施期間が1日など短い場合が多いため、いくつもの会社を体験できることです。
複数の企業を比べることで、より自分に合った企業を選択でき、就職してから社風が合わないと悩むリスクが減らせます。
しかし、この長所を生かすためには、会社側がインターンシップで何をするのか、そしてその目的は何であるのかといった具体的なプログラムを、事前に学生に知らせることが大切です。

高卒内定率がバブル期並みまで回復

高校生の就職内定状況

2015年2月16日、文部科学省がこの春に卒業予定の高校生を対象に行った、就職内定状況の調査結果を公表しました。

(参考サイト)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/27/02/1355107.htm

調査結果によると業予定者の数は約107万2,000人で、このうち就職希望者は約19万1,000人、就職内定者は約 17万人です。
就職内定率は前年比3.5ポイント増の、88.8%となりました。
内定率は5年連続で上昇傾向を維持しており、バブルで好景気だった1988年の89.8%と同レベルにまで回復しています。

内定者を男女別に見ると男子は90.7%、女子は85.9%。男子は昨年より2.7ポイント、女子は4.4ポイント上昇しました。

学科別では、工業が最高で96.0%。
次いで看護の92.6%、福祉の92.1%、水産の92.0%、農業の914%、 商業91.2%と続きます。
最も低かったのは普通科で、84.7%とでした。

大都市圏の就職率が低下

内定率を都道府県別に見ると、最も高かったのが富山県の96.9%。
次いで石川県の95.5%、 岩手県の95.3%、秋田県の95.1%、福島県95.0%と続きました。

一方で、就職内定率が最も低かったのは沖縄県の63.2%です。
次いで大阪府の81.3%、 神奈川県の82.5%、北海道の82.6%、東京都の83.3%と、大都市圏での就職率の低さが目立ちました。

東日本大震災で被害が大きかった岩手県は前年同期比1.5ポイント増の95.3%。
宮城県は2.8ポイント増の90.0%、福島県 2.4ポイントの95.0%でした。

この調査は国立、公立、私立の高等学校を対象に、学科別、都道府県別の就職状況に調査したもので、調査結果は2014年12月末時点のものです。

昭和51年以降の調査結果を見ると、これまでで12月時点の就職率が最も高かったのは、バブル絶頂期だった平成元年の91.6%。
最も低かったのは平成14年の66.3%でした。

就職内定率の回復は景気の回復を表していますから、5年連続で内定率が上昇しており、好景気の頃と同水準となったのは明るいニュースです。

また工業、看護、福祉で就職内定率が高かったのは、建築分野、高齢者医療・福祉分野の極端な人材不足を反映しています。

大学生の就職内定状況

大学卒業予定者の就職内定状況を見ると、大学、短期大学、高等専門学校卒を合わせた就職内定率は79.2%で、前年同期比3.2ポイント増でした。

大学だけに限定すると、前年同期比3.7ポイント増の80.3%。
このうち国公立大学は2.8ポイント増の84.5%、私立大学は3.9ポイント増の78.9%となっています。
地域別では、関東地区が最も高く85.6%でした。

男女別にみると、男子の前年同期比2.7ポイントプラスの就職内定率78.9%。
女子は前年同期比4.7ポイント伸び、81.9%です。
国公立大学の男子は82.5%、女子は86.8%でした。
一方、私立大学の男子は77.8%、女子は80.3%となっています。

文系・理系別でみると、文系は前年同期比4.6ポイントプラスの79.4%。
しかし、理系は前年同期比0.8ポイント減少し、84.2%でした。
地域別では、関東地区の就職内定率が最も高く85.6%となっています。